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『終活ノート』によせて

2014年7月

南魚沼市の『人生ノート』

先日何気なく見ていたNHK新潟のテレビ番組で、南魚沼市の『人生ノート』が紹介されていました。社会福祉協議会が3年前から市内の高齢者に配布している、これまでの人生や家族との関係を振り返り書き込むノートです。

項目に夫からのプロポーズの言葉≠ニいうのがあって、取り上げられた80代の奥さんが「そんなのなかった」と語るのです。ところがご主人は「いや、ちゃんと言った」と主張し、数日後に奥さんが思い出しました。「あのひとは普段からもの静かであまり喋らないから、うっかりしてたわ。本当は優しい人なんだよね」と、娘さんと嬉しそうに話していたシーンが印象的でした。また、ノートに書き込むことで「孫娘の結婚式まで頑張って生きる」と、あらためて生きる意欲が湧いた男性の姿も紹介されました。

文字にすることで、見直された夫婦や家族の関係がほのぼのと描かれたいい番組でした。

終活ブーム?

いま、終活がブームです。新聞の特集が組まれ、専門雑誌まで出ています。『終活セミナー』といったイベントが各地で開かれ、何万人も集まったなんて報道がありますが、その多くは葬儀社、墓石店、保険会社といった業者が主体です。

ちょっと前までの葬儀は、親族や近隣、会社の人たちのお手伝いで行われていたましたが、今は業者任せが中心です。当然経費も大きくなります。その結果、終活とかエンディングとか言われて、ビジネスの話の方が大きくなってしまいました。核家族で少子高齢多死社会が、葬儀のあり方まで変えてしまったのです。

『妙光寺版・終活ノート』

妙光寺では今回『妙光寺版終活ノート』をお届けしました。名称が暗かったかなと反省していますが、趣旨は先の『人生ノート』と同じです。もしものときの準備≠フ意味もありますが、そのことを念頭に置いて、今を大切にして欲しいというのが目的です。でないと、長い人生では夫のプロポーズの言葉さえ忘れてしまうのですから。妙光寺がお伝えしたいのは、最期の時の家族と向き合う大切な時間を第一に考えていただきたい、限りある時間をお互いが少しでも安心して過ごして欲しいということです。

葬儀は本当に大変な作業です。そのための心配事を極力減らすための『妙光寺版終活ノート』です。いま妙光寺には葬儀が近くなった家族の約半数から、事前に相談があります。住職冥利に尽きるありがたいことです。この『ノート』を、そんな時の一助にしてください。

逝く人を思いやる余裕がないと、生きている人にも、自分自身にも、優しくなれません。お互いを思いやれる社会であってほしい、その役にたてるお寺でありたいと考えています。

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