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『戦後70年、あらためて平和を願う
 −「ナガサキ写真展」に1,500人が来寺−』

2015年12月


静かな熱気

「悲しくていいようがありません」「罪もない子供たちの懸命な姿に心打たれます。2度とこのようなことが起きないよう祈るのみです」「私の父は昭和20年3月戦地へ…。そして1枚の紙になって帰ってきました。絶対に戦争はダメです」「案内のチラシを見て涙しました。何回見ても涙が湧きました」

11月に妙光寺で開催したジョー・オダネル『ナガサキ写真展』(前号でお知らせ)の感想の一部です。終戦直後、戦禍の日本を記録するためにアメリカ軍から派遣されたカメラマン、ジョー・オダネル。50枚の氏の写真と人間味あふれるコメントは、70年後の今にも戦争、特に原爆の悲惨さを伝えて、胸に迫る迫力がありました。期間中に新聞、テレビ、ラジオで報道されたこともあり、9日間で1500人もの方が来寺されました。

皆さん静かに、長時間写真を見続けていました。たくさん頂いた感想から、戦争の根絶を願い、さらに最近の日本の不穏な空気を感じている方の多いことが読み取れました。
 

惨劇を繰り返さない

展示の最終日に合わせて、日蓮聖人のご命日法要『お会式』を行いました。法要の後、日本での写真公開をオダネル氏から託された山崎真さんに「ジョー・オダネルとの出会い」を語っていただきました。山崎さんは盛岡市のキリスト教センターの元館長で、教会活動を通してこの写真に出会われたそうです。

仏教もキリスト教も、世界のあらゆる宗教は、等しく安穏な世界を求めます。その方法が異なることでしばしば争いを生み出しますが、語り合うことで相互理解が可能になるはずです。一方、この国でも見られる真摯な対話のない政治は、危険です。

仏教では、憎しみの連鎖を断ち切ることが争いを止める手段のひとつであると教えます。展示写真に『老人』と題された1枚があり、毅然とした老人の言葉が強く印象に残りました。「今の日本のありさまをしっかり見ておくのです。国にもどったら爆弾がどんな惨状を引き起こしたか、アメリカの人々に語りつがなくてはいけません。写真も見せなさい。あの爆弾で私の家族も友人も死んでしまったのです。あなたや私のように罪のない人々だったのに。死ななければならない理由なんて何もなかったのに。私はアメリカを許しますが、忘れてくれと言われてもそれは無理です」老人は流ちょうな英語で語ったそうです。
 

山田洋次監督からの手紙

縁あって寅さん映画で知られる山田洋次監督から、自筆の写真展への賛同のお手紙が届きました。監督は12月公開の新作で長崎原爆を主題にし、撮影中にオダネル氏の写真を何遍も見られたそうです。

お手紙には「アメリカの市民がパールハーバーをいつまでも忘れないように、ぼくたち日本人は長崎と広島を永遠に記憶し続け、ぼくたちの国が二度と戦争をする、戦争に参加するというようなことをしないためにこそ、『憲法9条』があることを、確認し続けたい、としきりに思う今日この頃です」とありました。

今回の写真展は、皆様にご協力をお願いしている妙光寺浄土化計画≠フ一環で企画しました。オダネル氏の写真展は、国内各地で過去80回近く開催されましたが、お寺での開催は今回が初めてだったそうです。仲間のお寺にも呼びかけて、もっと多くの方に写真を見ていただきたいと考えています。

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